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組合ニュース

団結ニュース1242号

人事院勧告特集

 
  国家公務員(約28万人)と地方公務員(約280万人)は、憲法28条に定める労働三権(団結権、団体交渉権、争議権)のうち団体交渉権に制約を受け、争議行為が禁止されています。労働三権が保障されないことは、団体交渉によって給与、勤務時間などの労働条件を団体交渉で話し合えず、労働協約を締結することができないことを意味します。公務に従事することによる制限ですが、公務員も労働者であることに変わりがありません。そのため、国家公務員については人事院が、その年の春闘交渉結果を受けた民間の給与とボーナスを調査し、国家公務員の給与・期末手当の額と支給率、その他の勤務条件の改定勧告を内閣と国会に行います。これが人事院勧告です。勧告は秋の国会で審議され可決されれば実施となります。地方公務員の勤務条件改定は、人事事院の調査とは
 給与勧告は、情勢適用の原則に基づき、経済・雇用情勢を反映して労使交渉等によって決定される常勤の民間従業員の給与水準と、常勤の国家公務員の給与水準を均衡させる(民間準拠)ことを基本とします。本年の人事院の調査は、全国11,700事業所と47万人の個人別給与を対象にし、賃金決定要素としての役職、勤務地域、学歴、年齢をそろえる手法を用いて精密な比較を行っています。
公務員連絡会の人事院交渉
 公務員組合にとって民間の春闘と同じ意味を持つのが人事院との交渉です。自治労などで構成する公務員労働組合連絡会(連絡会と略)は、本年6月19日、人事院の川本総裁に対して、賃金要求・給与制度の整備・長時間労働の是正・非常勤職員の待遇改善を求める「2024人事院勧告に関わる要求書」を提出しました。その後、連絡会幹事クラス交渉委員は人事院と粘り強く交渉を進めました。7月10日には人事院審議官から勧告の検討状況についての説明を受け、山場の7月24日には交渉を後押しするため、人事院の建物を取り囲む全国集会を日比谷野音で開催しました。
 
本年の人事院勧告
 8月8日に出された人事院勧告の内容は以下のとおりです。
月例給は「民間と公務の本年4月分給与を調査し、賃金決定要素を同じくする者同士を比較」します。今年は、平均年齢42.1歳、現行給与405,378円の職員では、民間との格差が11,183円(2.76%)あるとの結果が出ました。それを基準にして、俸給表1級は11.2%、2級は7.6%、全体は3.0%の引上げ改定が勧告されました。また、民間企業は、採用市場での競争力を強化するため新卒初任給を大幅に引き上げられました。そのため、総合職(大卒)で29,300円、一般職(大卒)で23,800円、一般職(高卒)で21,400円のプラスとなります。
ボーナスは、直近1年の民間との比較から、本年は4.6月と0.1月引き上げました。今年度については6月が2.25月でしたので、12月は 2.35ヶ月の支給となります。
地域手当と扶養手当の見直しについては、松戸市の地域手当は10%から8%へ、配偶者に係る手当6,500円は段階的に廃止(ただし子に対する手当は増額)されます。しかし、地域手当と配偶者への扶養手当の見直しは、激変緩和措置を講じさせたため今年度は従来通りです。
現行では、管理職員の深夜勤務手当の支給時間帯は午前0時から午前5時ですが、午後10時から午前5時に拡大されます。
 
人事委員会・市町村交渉へ
 人事院勧告は慣例的に見れば地方公務員への賃金等に大きな影響を及ぼします。秋の臨時国会で勧告が実施されることが決議されれば、勧告に基づいて各々自治体での労働条件交渉へと舞台が移ります。